FRAGRANCE

ob

2011年12月04日 – 2012年01月08日
レセプション:2011年12月03日(土)18:00〜20:00

震災とSNS依存症と社会無責任主義と

obは19歳。
18歳で通っていた大学を自主退学し、ソーシャルネットワークで知り合った仲間達と、作家活動を始めました。
同世代同士の楽しいコミュニケーション。
しかし、そうした活動も、「だべり場の延長としてのイベント」なため、長続きせず、半年も経つと本気だった彼女と学生気分を満喫したい仲間との間に亀裂が産まれてしまいました。
しかし、その亀裂に悩み、己の立ち位置を否定し、どうにかそのゆるいネットワークに介入し直そう、そう決意しての活動がwassyoiという名のグループ展でした。
wassyoiは日本語でお祭りの時に、御神輿を担ぎ、気合を入れるための際のかけ声。
つまり、大声でwassyoi wassyoiとかけ声を上げ続けていれば緩い人間関係もハッピーに続くのではないか?
そういった、彼女らの世代独特のユートピア願望の具現化プロジェクトなのです。

「コミュニケーションをしていないと不安を拭いきれない人達が、なにか感動を得たいという思いをもち、1カ所に集まりました。
しかし、痛い思いをせずに感動したい、楽しみたいといった無責任な考え方の為に、長期的につづく事が難しく、一時的な盛り上がりで終わってしまうものでした」

しかし、そういったユートピアの創造は、2011年、3月11日の震災時に打ち砕かれます。

打ち砕かれつつも、でも、変われない同世代との共闘をする場。
それが彼女の創造するグループであり、そのグループ内に湧いては消えるたわいない話題の中から、obの作品のアイデァが出現し、そしてキャンヴァスに固着してゆくのです。

ソーシャルネットワークの功罪。
その全てがobの作品内に明滅しているのです。

村上隆

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